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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1266820218/617-619 俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第071回 その後、瀬菜に夕食を用意してやってから俺はリビングを出た。アリバイ作りの為だ。 自室で携帯を手に麻奈実へと電話を掛け、道端で泣いている瀬菜を見つけたので保護し、自宅に泊めることにした、と赤城の家に電話連絡を入れるよう指示を出す。 経緯については触れず、本人を電話に出せと言って来た場合には自分の裁量でどうにかしろ、とも付け加えておいた。当然、事の首尾を報告するようにとも告げた。 瀬菜に聞いたところ、両親は温泉旅行に行っており、日曜日の夜まで不在だという。 それで赤城も行動に踏み切ったのだろうが、馬鹿な奴だ。みすみす俺に瀬菜を犯す機会を与えたことになる。 相手が赤城一人なら、麻奈実が電話してきたことには驚くだろうが、瀬菜への後ろめたさから宿泊を許可する筈だ。 明日の夜も同様の電話を麻奈実に入れさせれば、日曜の夜までは瀬菜を手元において置ける。 麻奈実との通話を終えた後、ベッドの上を整え、簡単に部屋の清掃をしていると、携帯から着信音がした。かけてきたのは麻奈実で、瀬菜の宿泊の許可を得たと言う。 後日褒美をくれてやると告げて電話を切り、清掃を終え、俺はリビングへと戻ることにした。 再びリビングに戻ると、瀬菜が心配そうに俺を見つめてきた。宿泊先の嘘に関しては、麻奈実に電話をする前に瀬菜に話して了承させてある。 上手くいったのかどうか、赤城しかいない自宅に帰らないで済むのかどうか、それが心配なのだろう。 「大丈夫、許可は貰ったらしいから。これで安心だろ?」 瀬菜は小さく頷き、照れ臭そうに頬に手を当てた。好意を伝えてからは、常時はにかんだ笑みを見せて俺の言葉に従っている。 当初は俺への相談を終えた後で女友達の家に泊まりに行く予定だったとのことだが、こんな機会を逃すつもりはない。 瀬菜自身、これから何をされるのか理解した上で、覚悟を決めているようにも見える。ここまできたら性急に犯す必要はない。まだ時間はたっぷりとある。 「まだ食べられるか? 喰いたいもんがあれば作ってやるぞ?」 そう言って俺は瀬菜の隣に座り、極力優しそうに微笑んでみせた。 「いえ、御馳走様でした。先輩、お料理、上手なんですね。美味しかったです」 「じゃあ、どうする? 俺の部屋でも行くか?」 途端に瀬菜は恥ずかしそうに俯いた。部屋に行ったら即喰われるとでも思っているに違いない。 「……あの、お、お願いしてもいいですか?」 消え入りそうな声で瀬菜が囁いた。避妊のことでも気にしているのだろうか? 「何を?」 「……初めてご自宅にお邪魔して、こんなこと言うのもなんですけど」 「トイレか?」 「ち、違いますっ。……あの、お風呂、お借りしてもいいですか?」 俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第072回 瀬菜に尋ねると、自宅で風呂に入ってはいるが、赤城に邪魔されたので再度入りたい、触られた場所も丁寧に洗い流したい、とのことだった。 試しに説得もしてみたのだが、一緒に風呂に入るのだけは絶対に嫌だと言う。諦める条件として、俺は瀬菜に避妊薬を呑ませた。 瀬菜が出た後に俺も風呂に入り、リビングから自室へと場所を変え、互いにベッドに腰掛けて他愛無い話をし、そうしている内に夜も更けてきた。 「そろそろ寝るか」 俺がそう言うと瀬菜は黙り込み、身体を縮込ませて俯いた。自業自得とは言え、このところ淫乱の相手しかしていなかったので、その態度は新鮮だ。 俺は瀬菜の頬に手を当て、顔を上に向けさせて唇にキスをした。 「んむっ……んっ……」 唇を合わせながらゆっくりと押し倒して眼鏡を外してやり、そっと肩を撫で、その手を首から鎖骨、そして乳房へと滑らせていく。 瀬菜は怯えて身体を硬くさせていたが、パジャマの上から胸の先を優しく擽ってやると徐々に力を抜き、甘く鼻を鳴らしてきた。 パジャマの前ボタンを一つだけ外し、そこから手を入れてブラの上から豊満な乳房を揉み、頃合を見て指を差し入れ、直接乳首に触れてやる。 指先で撫で、擦り、弾き、扱き上げてやると面白いように乳首が硬くなっていく。 恥ずかしさに耐えられないのか、瀬菜は身を捩って俺の手から逃れようとしたが、口中に舌を入れて絡ませてやると、一切の抵抗をしなくなった。 「んぶむっ……もむごっ……おぶもっ……んごくっ……むぶうっ……ごむぶっ……」 目を開けるのが怖いのだろう。きつく瞼を閉じ、恐る恐る俺の舌を舐めてくる瀬菜は予想以上に可愛い。破瓜の痛みを与える前に、悦楽を徹底的に叩き込んでやりたくなる。 俺は手早くパジャマの前ボタンを全部外して肌蹴させ、背に手を回してフリルの付いたブラのホックを外した。露出した薄紅色の乳首は尖りきっている。 そこに口を付けて舌を這わせてやると、瀬菜は腰を震わせて切なそうに吐息を漏らした。 「んはぁ……先ぱぁい……あふぁ……ダメですぅ……はあぁ……恥ずかしいですぅ……」 そう言って瀬菜は嫌々と小さく首を振ってきたが、未だ全てを俺に任せたままだ。もどかしそうに肩を揺らし、少しずつ虚ろな目になりつつある。 俺は乳首を甘噛みしながら片手を瀬菜の股間へと滑らせ、指先でズボンの上から秘裂をなぞってやった。 「あんふぁ……先ぱぁい……んくはぁ……恥ずかしいぃ……ふうあぁ……ダメえぇ……」 瀬菜の喘ぎ声はどんどん激しくなっていく。嫌がるように足を閉じては快感に耐え切れずに開き、また閉じては開き、何度もそんなことを繰り返している内に淫裂を嬲る指先が微かに湿り始めた。 「瀬菜ちゃん、もっと気持ちよくしてあげるから」 乳首から耳元へと口を移して囁きながら、俺は瀬菜のズボンに手を入れ、下着の中へと潜り込ませた。 さらさらとした陰毛の感触を確かめながら、濡れた陰唇の上、ちょこんと勃起した陰核をやわらかく指先で叩いてやる。 「あうはあっ……嫌あっ……んくはあぁ……嫌嫌あっ……くうああっ……嫌あっ……」 たったそれだけの行為で瀬菜は足を絶え間なく開閉させ、腰を上下にくねらせ始めた。陰核はかなり敏感らしく、背中を仰け反らせながらシーツを強く握り締めている。 「可愛いな、瀬菜ちゃんは。気持ちいいって言ったら止めてやるから。こんなのどうだ?」 「ふあはあっ……嫌それ嫌あっ……んくふあぁ……言いますっ……はうああっ……言いますからあっ…… うはああっ……だから止めてえっ……うふああっ……気持ちいいっ……んはふあっ……気持ちいいからから止めてくださいいっ……」 四肢を小刻みに震わせているところを見ると、こんな愛撫だけでも高みに導いてやれそうだ。指先で可能なあらゆる愛撫を駆使して陰核を責めながら、もう一度俺は囁いた。 「このまま瀬菜ちゃんののこと、イかせてあげるから」 「んあふあっ……嫌ですそんなのおっ……はくふはあっ……言ったのにいっ……ひふはああっ…… 気持ちいいって言ったのにいっ……んくふああっ……先輩ダメですうっ……あっあっ……ダメダメダメええっ……あ、ああっ……んああっ……嫌あああああああっ!」 大きく全身を反らせながら瀬菜は高く声を上げ、一時腰を前後に動かした後、力なくベッドに横たわって息を弾ませた。 大きな乳房が後を追うように揺れるのを見ながら、俺は瀬菜の頬に口付けをしてやった。 俺の妹がこんなにエロ可愛いわけがない 第073回 充分に余韻を楽しませてやってから、俺は瀬菜を裸に剥くことにした。時折恥ずかしそうに首を振り、怯えた表情を浮かべながらも、瀬菜は俺の言いなりだ。 ショーツを脱がせる時には自ら腰を上げ、濡れた秘所を隠そうともしない。覚悟を決めていると言うよりは、覚え立ての肉悦に抗えないといった様子だ。 自慰の経験くらいはあるのだろうが、誰かの手で絶頂を迎えたことなどなかったのだろう。このまま快楽を与え続けてやれば、今以上に全てを委ねてくるのは明白だ。 俺は仰向けに寝た瀬菜の脚を大きく拡げさせ、その間に座り込んで秘所に顔を近付けた。甘酸っぱい淫臭を深く吸い込みながら、包皮から顔を覗かせている陰核を舌先で擽ってやる。 「んくはあっ……先輩いっ……かはふうっ……先ぱぁいいっ……」 瀬菜は腰を小さく揺らしながら天井に向かって俺を呼び、白く濁った淫蜜を漏らし始めた。試しに舐め取ってみると、酸味が強いものの味は悪くない。 陰唇に舌を差し入れ、膣口の周囲を愛撫しながらその酸っぱさを存分に味わっていると、瀬菜は脚を震わせながら二度、三度と軽く達し、その度に粘度の高い愛液を大量に溢れさせてくる。 その反応に気をよくし、俺は夢中になって愛液を啜り続けた。 「あひはあっ……ふぇんぱひいっ……んかはうっ……もう許ひてくらはひいっ……」 やがて瀬菜は呂律の回らない口調で行為の中断を申し出てきた。秘所から口を離して顔を覗き込んでみると、半分白目となって口の端から涎を垂らしている。 しばらく放置しておいた乳首は乳輪と共に大きく膨れ上がり、触れられるのを待っているかのようだ。陰部も充分過ぎる程に濡れており、そろそろ陰茎挿入の頃合いかもしれない。 俺は服を脱ぎ捨てて裸になると、瀬菜の上へと覆い被さった。 「瀬菜ちゃん、入れてもいいか?」 「んひぁ………ふぇんぱいなりゃ……くはぅ……ふぇんぱいになりゃ……あふぁ……しゃれてもいいれふぅ……」 瀬菜は俺の問い掛けに薄らと微笑んで頷いてくれた。が、余程クリニングスの刺激が強かったのか、その表情は弛緩しており、口調も含めてまるで白痴のようだ。 腐女子という点を除けば普段は理知的に見える為、落差が著しく、それがまた何とも愛らしく思える。 俺は瀬菜の唇に短くキスをし、次いで一物に手を添えて亀頭を膣口に当てると、ゆっくりと腰を前に動かした。 陰茎はすぐに処女膜に振れ、それをそっと押し広げながら、苦痛が少なくて済むように手を伸ばして陰核を擦ってやる。 途端に瀬菜は俺の背に両手を回してしがみ付き、顔を歪めながらも甘美な嗚咽を漏らしてきた。 「くふはあっ……ふぇんぱひいっ……はうふあっ……しょれ気持ちいひでひゅうっ……」 「それってどっちだよ? チンポ、じゃねえよな? 指か?」 瀬菜は何度も小さく首肯し、更に強く抱き付いてきた。快楽に意識を集中することで破瓜の痛みから逃れようとしているらしい。 この状態ならば淫語を教え込むのも容易かもしれない。俺は陰核を擦る指の動きを早めながら、優しく諭すように囁いた。 「なら、クリトリス気持ちいいって言ってみてくれよ? ほら、ここがいいんだろ?」 「かはひあっ……クリトリフひ持ちいひでふうっ……あひくうっ……クリトリフひ持ちいひっ……んくひあっ……クリトリフひ持ちいひいっ……」 淫語を口にしながら興奮しているらしく、瀬菜はそれ以上苦しそうな顔をすることがなくなった。愛液の量も増え、もう陰茎は殆どが膣の中だ。 根元まで一物の残りの部分を押し込んでも、特に痛みを訴えるような素振りはない。そのまま俺が抽送運動を始めても、喘ぎの合間に教えられた言葉だけを唱え続けている。 どうやら麻奈実ほどではないにせよ、瀬菜にも痛みに対する耐性があるようだ。かと言って被虐的な資質が過分にあるようには思えない。 単に恥ずかしいことに愉悦を感じる性癖と言ったところだろう。自分の特殊な趣味を他人に隠しているだけに、痴態を晒し、それを受け入れてもらうことに喜びを感じているのかもしれない。 上手く調教してやれば、一人前の露出狂に育て上げることも可能だろう。 「じゃあ、次な。オマンコにチンポ、じゃねえな、オマンコにおちんちん入ってるって言ってみてくれ」 俺は瀬菜にそう告げながら、腰と指の動きを加速させた。 (今回分、終わり)
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「俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル」テーマ曲 SECRET×2/D.Noriyuki Nachiko http //www.nicovideo.jp/watch/nm11155775
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まぁ変態の集会所です。 会話などの使ってください。 ※暴言禁止 ※なりすまし禁止 どんなこと話されてるんですか? -- さら (2018-08-08 16 51 55) どんなの? -- ハゲ (2019-12-14 06 30 15) 名前 コメント
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《俺の妹リターン!》 イベントカード 使用コスト0/発生コスト2/黄 [アプローチ/両方] 自分の『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』のキャラ1枚は、ターン終了時まで+20/±0または±0/+20を得る。 俺の妹がこんなに可愛いわけがない。スペシャルパックPart2で登場した黄色のイベントカード。 自分の『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』キャラ1枚のAPまたはDPを20上昇させる効果を持つ。 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』専用のコンバットトリック。 APとDPのどちらを強化するか状況に応じて選べるので対応力は高い。 《初詣(098)》《みんなで花火大会》と異なり、発動条件がないので非常に使いやすい。 <俺の妹がこんなに可愛いわけがない>では採用する価値があるだろう。 カードイラストは版権絵。 関連項目 《初詣(098)》 《みんなで花火大会》 収録 俺の妹がこんなに可愛いわけがない。スペシャルパックPart2 03-033 パラレル 編集
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book_bunko_img05.png “先の読めない”ドラマチックコメディ、第5弾! 「じゃあね、兄貴」──別れの言葉を告げ、俺のもとから旅立った桐乃。……別に寂しくなんかないけどな。 新学期。平穏な高校生活を謳歌する俺のもとに、奇妙な後輩が現れる。「おはようございます、先輩」 俺は、黒猫(クロ)の人間としての真名を知り、より深い“絆”を築いていくことになる。“妹”と“親友”。ともに大きなものを失った二人は、数多の思想が渦巻く校内で、“魔眼(マガン)遣い”の少女と対峙する。 “稀少能力(レア・アビリティ)”を持つ少女に、俺と黒猫は圧倒され、異空間へと誘(いざな)われ……!! “日常”と“非日常”が交差するとき、物語は始まる──!!
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アレ? おまえら俺の妹だっけ!?」 ごくフツーの高校生・京介が目を覚ますと、そこはいつもと変わらぬフツーの朝だった。 しかし、小さな……いや、大いに違っている事実が1つだけあった……。 それは、ナマイキな妹・桐乃の部屋に、幼なじみのはずの麻奈実と、桐乃のオタク友だちである黒猫と沙織、そして桐乃の同級生でモデルのあやせの4人がいたこと! 桐乃も含めた5人の少女たちは、この部屋で“俺の妹”として、一緒に住んでいたのだった!! しかも「お兄ちゃん」と慕う妹たちからは、「お兄ちゃん構ってよぉ~♪」という、今世紀最大(?)の人生相談が!! ここに京介の人生相談奮闘劇の、新たな黒歴史が幕を開けるのであった――。
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「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」は、伏見つかさによるライトノベル。イラストはかんざきひろ。 電撃文庫(アスキー・メディアワークス)より2008年8月から2013年6月まで刊行。全12巻。 担当編集は小原一哲、三木一馬副編集長。 公式な略称は「俺の妹」。ネット掲示板などでは「俺妹」(おれいも)「俺芋」。 本作を原作とする漫画、ドラマCD、アニメ、ゲームなどの様々なメディアミックス展開が行われている。 アキバBlogやカーズSPといった実在のサイトを出すなど、積極的にインターネットサイトを利用した。近年の電撃文庫のプロモーション手法・メディアミックス戦略の集大成。 2012年には熱狂的なファンが伏見つかさ氏に対し、作中ヒロインに関することで脅迫する事件も発生した。 既刊情報 タイトル 初版発売日 ISBN 1 俺の妹がこんなに可愛いわけがない 2008年 8月10日 ISBN 978-4-04-867180-4 2 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(2) 2008年12月10日 ISBN 978-4-04-867426-3 3 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(3) 2009年 4月10日 ISBN 978-4-04-867758-5 4 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(4) 2009年 8月10日 ISBN 978-4-04-867934-3 5 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(5) 2010年 1月10日 ISBN 978-4-04-868271-8 6 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(6) 2010年 5月10日 ISBN 978-4-04-868538-2 7 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(7) 2010年11月10日 ISBN 978-4-04-870052-8 8 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(8) 2011年 5月10日 ISBN 978-4-04-870486-1 9 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(9) 2011年 9月10日 ISBN 978-4-04-870813-5 10 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(10) 2012年 4月10日 ISBN 978-4-04-886519-7 11 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(11) 2012年 9月10日 ISBN 978-4-04-886887-7 12 俺の妹がこんなに可愛いわけがない(12) 2013年 6月 7日 ISBN 978-4-04-891607-3 参考 2008年下半期ライトノベル界の話題作 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 伏見つかさ先生インタビュー(前編) http //web.archive.org/web/20101028081017/http //closeup-nettube.livedoor.biz/archives/581598.html 2008年下半期ライトノベル界の話題作 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 伏見つかさ先生インタビュー(後編) http //web.archive.org/web/20101026084914/http //closeup-nettube.livedoor.biz/archives/581591.html
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144 : 俺の妹がこんなにとびっきりに変態なわけがない 2 2010/09/21(火) 22 54 17 ID 4/uKqcvU 「うわッ!」 奇妙な夢に悩まされていた俺――乃木涼介は、軽い悲鳴と共にベットから跳ね起きた。 「はぁはぁ……はぁ……、夢か……」 部屋は真っ暗。まだ深夜だろう。パジャマの中はしっとりと汗で濡れていて少し気持ち 悪かった。 「そうだよな……そんな馬鹿なことあるわけないよな……」 本当におかしな夢だった。 こともあろうに、実の妹と主従関係を結んでしまうというトンデモナイ夢を見てしまっ たのだ。俺がご主人様で妹の真帆奈が奴隷。もうなんと言っていいのやら。いくらなんで もアホすぎるわな。ハハハ……。いやいや、兄としてこんな夢を見てしまって本当に情け ないよ。でも、もの凄くリアリティーのある夢だったような気がするんだけどな……。 「う~……。どうしたの、お兄ちゃん……?」 「あっ、ごめんな。起こしちゃったか? いやー、なんか変な夢見ちゃってさ」 「怖い夢だったの……?」 「うーん、怖いと言えばある意味一番怖い夢だったのかもしれないな」 「だいじょーぶだよ。お兄ちゃんのそばには、ずーっと真帆奈がついててあげるからね。 来て、お兄ちゃん。真帆奈がぎゅーってしてあげる」 「そっか、ありがとな。でも大丈夫だよ。たんなる夢の話だからな」 「だめだよー。怖い思いをしたお兄ちゃんを慰めるのは妹の努めなんだから、ちゃんとぎ ゅーってしないとだめなの」 「つーか、本当はお前が単に甘えたいだけなんじゃないのか?」 「エヘヘ……ばれたか。でもでもお兄ちゃんを慰めてあげたいのはほんとだよ。それでお 兄ちゃんも真帆奈も幸せになれるんだから一石二鳥だよ。だからぎゅーってしないとだめ なの」 「まったく、しょうがない奴だな。ちょっとだけだぞ」 「やったー。だからお兄ちゃん好き~」 真帆奈は俺の首に両腕を回し、ぎゅーっと身体を密着させてきた。 「こらっ、そんなにくっついたら寝られないよ」 「このくらいでは真帆奈のお兄ちゃんへの愛情はまったく表せないのだ。うにゃ~、お兄 ちゃ~ん……お兄ちゃ~ん……だい好きだよ~……」 「いつまで経ってもお前は甘えん坊だな。さぁ明日は学校だしもう寝よう。起こして悪か ったな」 「そんなことはどうでもいいんだよ。お兄ちゃんだったら真帆奈はなにされても許しちゃ うんだからね」 「大げさな奴だな」 「大げさじゃないよ。真帆奈は本気なんだよ。だからお兄ちゃんも真帆奈に遠慮なんかし たらだめなんだからね」 「はいはい、わかったわかった。じゃぁおやすみ」 「うん。…………ねー、お兄ちゃ~ん」 「んー?」 「おやすみなさいのキスは?」 「馬鹿なこと言ってないでさっさと寝なさい」 「うー、いつもはブチューってしてくれるのに……」 「そんなことした覚えないよ。全部お前の妄想だから。つーか、もうホントに寝ようよ。 明日起きられないぞ」 「うー、わかった……。おやすみなさい、お兄ちゃん。だい好きだよ」 「はいはい、おやすみ……」 明日というか今日は、早く起きて弁当を作らないといけないからな。さっさと寝ること にしよう……。 「――って、おいッ!!」 145 : 俺の妹がこんなにとびっきりに変態なわけがない 2 2010/09/21(火) 22 55 47 ID 4/uKqcvU 俺は勢いよく布団から跳ね起き電気を付けた。 「なんでお前が俺のベットで寝てるんだよ!?」 「くー……」 「こらっ、寝るな! 起きろッ!」 隣でもう熟睡状態に入ろうとしている妹を起こす。 「な、なんなのお兄ちゃん? 寝ろとか寝るなとか、真帆奈はいったいどうすればいいの かわかんないよ?」 「なんでお前がここで寝てるのかって聞いてるんだよ!」 寝ぼけていたせいで、無駄に長いノリツッコミをしてしまったじゃないか。 「なんでって……? お兄ちゃんはもう真帆奈のご主人様になったんだから、一緒に寝る のなんて当たり前じゃない」 俺の実の妹――乃木真帆奈は、こんなの初歩の初歩だよ、と呟きながら再び船を漕ぎ始 めている。 つーか、あの夢は現実だったのか。どおりで生々しい夢だって思ったよ。 実はここだけの話だが、俺は妹との真帆奈と主従関係を結んでいる。 いや、正確には結ばされたと言った方が正しいだろう。 内容も分からない書類に軽々しくサインをしてしまい、それが奴隷契約書なるものだっ たのだからさぁ大変。ダルマ蔵相で有名な高橋是清も若い頃に騙されて奴隷契約書にサイ ンをしてしまい、誰も知る人がいない海外で相当な苦労をしたらしいのだが、俺の場合は 少し違う。 騙されてサインをした俺の方がご主人様で、騙した真帆奈が奴隷というなんとも奇妙な 契約だったのだ。 世にも不思議な話があったもんだろ。 「兄と妹が一緒に寝るのは当たり前のことじゃないの。わかったらさっさと自分の部屋に 戻りなさい」 「えー、なんでなんでー? 妹だからだめだって、そんなの人種差別なんだよ。だいたい 真帆奈はお兄ちゃんの妹である前に忠実な下僕なんだから、いつなんどきでもお兄ちゃん の近くにいなくちゃいけないのだ」 かなり眠いらしく、真帆奈は目をゴシゴシさせながら持論を力説する。 その姿をよく見たら、お腹のあたりがスケスケになったらフリフリのキャミソールにタ ップパンツという、ちょっとというかかなりエッチないでたちだった。 「ちょっ、なんなのそのパジャマは!」 「お兄ちゃんのために通販で買ったんだよ。可愛いでしょう。エヘヘ…‥」 どうだー、とばかりにベットの上で自分の姿を兄に見せつけてくる真帆奈さん。 確かに、まぁなんというか……その、よく似合ってはいた。 新雪のような白い柔肌、愛らしく整った眉目、小柄で華奢な体格、そして、シーツの上 に扇のように拡がった黒絹のような長い髪。 実の兄である俺が言うのもなんなのだが、こいつは相当な美少女なのだ。 「今なら出血大サービスで、先着一名様にもれなく真帆奈を独り占めだよ、お兄ちゃん」 早く早く、と両手を広げて兄を誘惑する真帆奈。 ヒョイッ、ポイッ、バタン。 「うにゃー!」 真夜中にこれ以上無為な時間を費やさないためにも、とっとと実力行使に出た。 「うー! なんでこんな酷いことするの! たとえお兄ちゃんでも、こんな人道に反する 行為は許されないんだよ!」 扉の向こうで真帆奈が騒ぐ。 去れ! 「はっ!! わ、わかったよ、お兄ちゃん! これは放置プレイなんだね? 放置プレイ の一環なんだね!?」 「真夜中にわけのわからないことを叫ぶと近所迷惑ですから! もういいからさっさと自 分の部屋に戻って寝る!」 146 : 俺の妹がこんなにとびっきりに変態なわけがない 2 2010/09/21(火) 22 56 51 ID 4/uKqcvU 「こんなのないよー! 詐欺だよー! インチキだよー!」 暫くの間、真帆奈はギャーギャーと喚きながらドアノブをガチャガチャやっていたが、 すぐに俺の断固たる意志を悟ったらしく、 「うー! お兄ちゃんのバカーッ!」 と、捨て台詞を残して自分の巣に逃げ帰った。 真夜中に余計な体力を使ったせいですっかり目が冴えてしまった。 時間を確認してみると深夜二時過ぎ。 俺はしみじみと嘆息してから、自分のベットに潜り込んだ。ベットの中には、まだ真帆 奈の甘い体臭の香りが残っていた。 『俺の妹がこんなにとびっきりに変態なわけがない2』 欠伸を噛み殺しながら駅のホームで電車を待っていた。 周囲を見渡すと、経済新聞を読んでいるサラリーマンや、携帯電話を見ながら忙しなく 指を動かしている女子高生などがまばらにいた。この時間帯は、ちょうど人が少ない穴場 時間なのだ。次の電車あたりから一気に人が増え始める。だから俺は早めに家を出るよう にしているのだ。少し早起きしてでも快適な通学ライフを送りたいからな。しかし、そん な小市民のささやかな計画の邪魔をしようとする人物が我が家に約一名存在する。もちろ ん妹の真帆奈のことだ。昨晩に引き続いてまた早朝からごねやがった。 真帆奈曰く、 「お兄ちゃんは、ご主人様としての自覚をもっと持たなくっちゃだめだよ!」 だそうだ。 朝起こしに行くと夜中に部屋から追い出された鬱憤が溜まっていたらしく、真帆奈はか なりご機嫌ななめだった。その他にも、「一人で寝るのは寂しかった……」とか「これな ら下僕としての責務が果たせないよ……」などとグチグチ言っていたが、真面目に相手を するほど暇を持て余しているわけではないので、「まだ話は終わってないんだよーっ!」 と憤る真帆奈を振り切って家を出てきた。 で、俺の哀れな携帯電話に先程から執拗に愚痴メールが入ってくるというわけだ。 噂をすれば再び携帯電話がブルルと振動した。 メールを確認する。 『今日学校に穿いていくパンツのことなんだけど、お兄ちゃんは青と白の縞々とピンクの ハート柄のどっちがいいと思う?』 『どっちでもいいよ! そんなことでいちいちメールしてこないでよ!』 と、すぐさま返信した。 『お兄ちゃんが真帆奈のお話をちゃんと聞かないで学校へ行っちゃうのが悪いんだよ。ど っちがいいのか早く決めて』 兄はそこまで妹の面倒を見ないといけないものなのだろうか? つーか、家で洗濯して いるのは俺なわけで、真帆奈がどのパンツのことを言っているのかある程度わかってしま うのがなんだかもの凄く嫌だった。 「まもなく二番線に電車が参ります。危険ですからホームの内側までお下がりください。 二番線に電車が――」 ホームに独特の口調のアナウンスが聞こえてくる。 『縞々にでもしときなさい』 と、メールを送信してから携帯電話の電源を切った。 電車に乗る時はいつもそうするようにしている。こういうことは、一人一人のマナーが 大切なのだ。 スピードを落としてホームへと侵入してきた電車がゆっくりと停車し、俺の目の前でド アが開いた。 147 : 俺の妹がこんなにとびっきりに変態なわけがない 2 2010/09/21(火) 22 58 27 ID 4/uKqcvU べつに深い意味はないのだが、俺はいつも先頭車両に乗ることにしている。それで電車 に揺られながら本を読むのがちょっとしたマイブーム。車内に入りいつもの指定席に座ろ うと歩を進めると、そこで意外な人物に遭遇した。 緩やかにエアウェーブした長い黒髪、造形美の頂点を極めた秀麗な顔立ち、スーパーモ デルのような抜群のプロポーション。そして、眼鏡属性。 高千穂学園が誇る不動のナンバー1アイドル、東郷綾香その人だった。 頭脳明晰、運動神経抜群という文武両道の才女で、これでオマケに俺のようなクラスの モブキャラにでも優しく接してくれるマザーテレサのような博愛精神の持ち主なのだから 始末に負えない。人間なにか一つくらいは欠点があるものだが、彼女からそれを見つける ことは不可能であった。 さて、俺はどうするべきだろうか。どうやら東郷さんは本を読むのに熱中していて、こ ちらにはまったく気付いてないようだ。やはりクラスメイトとしては、挨拶くらいはして おかないといけないよな。……やばい、緊張してきた。ちょっと落ち着けって俺。なんで こんなにドキドキする必要があるのだ。ちょこっと行ってちょこっと挨拶するだけじゃな いか。よ、よしっ……まずは深呼吸をしてから、自然にさりげなく行こうじゃないか。 「と、東郷さん、おおお、おはよう!」 うわっ! 完璧に声が裏返った。最悪だ……。 「……乃木くん?」 不審者から声を掛けられたのかと思ったのか、東郷さんは一瞬だけ怪訝な表情をして目 をパチクリとさせていたが、すぐに俺だと気付きニッコリと微笑んで、 「おはよう、乃木くん」 と、挨拶を返してくれた。 それだけで俺の体温は、二、三度ほど急上昇してしまう。 「え、えっと、奇遇だね。東郷さんもこの電車だったんだ?」 「いつもはもっと遅い電車なんだけどね。私、今日は日直だから早く家を出てきたのよ」 なるほど。どおりで今まで一度も会わなかったわけだ。日直グッジョブ。 「乃木くんは、いつもこんなに早いの?」 「うん。電車混むのいやだからね。やっぱり朝は座って学校に行きたいし」 「そうなのよね。この時間って本当に人が少ないのよね。吃驚しちゃった。これならいつ も早起きすればいいんだけど、私は朝が苦手で……」 どうやら東郷さんにも意外な弱点があったようだ。 身近に似たような人がいるから一気に親近感が湧いてくるな。 「うちの妹と同じだね」 「乃木くんの妹さん?」 「そっ。うちの妹も朝が苦手でね、俺が起こさないと絶対に自分では起きないんだから。 休みの日なんかは、お腹が空くまでずっと寝っぱなしだよ。ホント、冬眠中のクマみたい な奴なんだから」 「ふふっ、そんなこと言ったら妹さんが可哀想よ」 東郷さんは、クスクスと楽しそうに笑っている。 「ところで乃木くん」 「なに?」 「席も空いてるんだし座ったらどうかしら」 「えっと……横に座っていいの?」 「どうぞ」 ニッコリ。 朝からそんな笑顔を見せられたら惚れてまうやろーっっ!! 「じゃぁ、お言葉に甘えて失礼します……」 俺は失礼がないように、一人分ほどの空間を開けて東郷さんの隣の席に座った。 同時に静かに電車が発車する。 148 : 俺の妹がこんなにとびっきりに変態なわけがない 2 2010/09/21(火) 22 59 38 ID 4/uKqcvU 車両の窓から長閑な田園風景が走馬灯のように流れていくのが見えた。電車は並走する 乗用車を追い越しながら徐々に加速していき、一路都心へと向かうのだ。 「乃木くんの妹さんって、きっと可愛いいんでしょうね」 「可愛い? そ、そんなことないよ。普通だよ普通」 「でも、乃木くんに似てるんでしょう」 俺にはあんまりというか、全然似てないような気がするな。あいつは完全に母親似で、 俺はどちらかというと父親似だからな。つーか、俺に似てたら可愛いのか? 「まぁ、あいつは外見よりも中身の方に問題があるからね。最近なにを考えてるのかよく わかんないし……」 鬼畜系エロゲーの趣味があったりとか、奴隷契約書にサインをさせられたりとか、夜中 にベットに忍び込んできたりとか、ここ最近は兄の理解の範疇を軽く突破している。 「妹さんはお幾つなの?」 「十三歳だよ。来月で十四歳になるね」 「その年頃の女の子って、凄く多感で繊細な時期なのよ。私がその時の頃を思い出すわ。 乃木くんも色々戸惑うことがあるかもしれないけど、できるだけ優しく接してあげて欲し いな」 あれでも繊細というものなのだろうか? かなり図太いようにも思えるのだが。まぁ、 うちの妹は特質系の能力者だから、一般論はまったく当て嵌らないような気がする。まし てや東郷さんと比べるなんて恐れ多すぎるっつーか。 「色々気は使ってるよ。なんせ今は俺しか保護者がいないからね」 「ご両親はいないの?」 「うん。親父が転勤になったから母親も一緒について行ったんだよ」 「そうなんだ」 東郷さんは、得心いったように静かに頷いた。 「それだとなにかと大変ね。ご飯とかは妹さんが作ってるのかしら?」 「いや、俺が作ってるよ」 「乃木くん、料理できるんだ」 「まぁ人並みにはできるよ。その他の掃除や洗濯も全部俺がやってる。真帆奈はなーんも できないからね」 「そっか、偉いんだね」 東郷さんに褒められた。 なんだか背中のあたりが無性にムズムズしてくるな。 「べ、べつに偉いとかじゃなくて、俺しかやる人間がいないから仕方なくやってるだけだ よ。真帆奈も少しは料理くらいできるようになってくれればいいんだけどね。あいつの将 来が心配だよ」 「ふふっ。乃木くんって、妹さんのことが本当に好きなのね」 やや揶揄する口調で東郷さんが言った。 「えっ!? そんな……や、藪から棒になに言ってるのさ。こっちは毎日、苦労させられ てるんだから」 「だって妹さんの話しをしている時の乃木くんって、凄く嬉しそうな顔をしてるんですも の」 マジデ!? 俺はそんな恥ずかしい顔をして、真帆奈のことをペラペラと話してたのか。 「変なこと言わないでよ、東郷さん。そ、そんなこと全然ないんだからね!」 「ふふっ、ごめんなさいね」 東郷さん、クスクスと楽しそうに笑っている。 やべ、マジで可愛いな。クソッ。 「でも、嬉しそうな顔をしてるのは本当のことよ。乃木くんの妹さんが羨ましわ。私は一 人っ子だから兄弟とかに憧れちゃうな」 149 : 俺の妹がこんなにとびっきりに変態なわけがない 2 2010/09/21(火) 23 00 47 ID 4/uKqcvU まったく。誰でもかれでも俺のことをシスコン扱いするんだから。俺はシスコンじゃな いっつーの。とにかくこの話題はちょっとマズイな。早急に会話を逸らさなければならな いぞ。 「と、東郷さんは兄弟いないんだ」 「そうよ。だから乃木くんみたいな優しいお兄さんが欲しかったわ」 あうっ、強烈なカウンターが入った。 「もうっ、あんまりからかうのはやめてよ」 「からかっているつもりは全然ないわよ。全部本当のことですもの。ふふっ」 つーか、たった今気付いたんだけど、俺と東郷さんって結構雰囲気よくね。周りから見 たら絶対にいいよね。もしかするとフラグ立ってるんじゃないかな。 さっきから対面の男子高校生らしき人物が、しきりにこちらをチラチラと見ている。き っと内心では、そんな美人と朝からイチャイチャしやがって、と歯ぎしりの一つでもして いることだろうよ。もしも立場が逆だったら、俺だってそう思うはずだから間違いない。 なんだか軽い優越感が湧いてくるな。 とはいえ、これ以上真帆奈の話をするのはよろしくない。なにかいい話題はないものだ ろうか。……あっ、そうだ。 「そういえば東郷さん、さっき小説読んでたけどなに読んでたの?」 「えっ、さっきの小説……えっと……」 妙な反応だな。 もしかして聞いたらまずかったのかな。 「いや、べつに言いたくないんだったら無理して言わなくてもいいんだけど」 「そんなことないのよ。実はこれなんだけど……」 東郷さんは、鞄の中にしまっていた先程の小説を渡してくれた。 小説にはカバーがしてあったので、中を開いて確認してみるとあら吃驚。 なんとライトノベルだった。 『烙印の紋章』 中世ヨーロッパ風のファンタジーで、主人公の若い奴隷剣闘士が魔法によってその国の 王子と瓜二つに整形され、クーデターを企む貴族達に利用される。が、主人公は頭が切れ、 オマケに戦争の天賦の才まで持っていたため、逆に貴族たちを利用し本物の王子として成 り上がっていくというお話だ。 俺もゴゾゴゾと自分の鞄をあさり、一冊の本を取り出して東郷さんに見せた。 「ジャーン!」 「あっ!」 まったく同じ本――『烙印の紋章』の新刊なのだ。 俺と東郷さんは、奇しくも同じ本を読んでいたわけだ。 そして俺達は、顔を見合わせて一緒に吹き出してしまった。 「東郷さんがこういう本を読んでるなんて意外だね」 巷ではあまり話題になってないかもしれないが、かなり面白い作品なのだ。ただ東郷さ んなら、てっきりお固い純文学なんかを読んでいるのかと思ってたよ。 「乃木くんも読んでたんだね。よかった。子供っぽいって笑われちゃうかもしれないと思 ったから――あっ、べ、べつに乃木くんが子供っぽいってことじゃないのよ」 失礼なことを言ってしまったと思ったらしく、東郷さんは慌てて訂正する。 「わかってるから大丈夫だよ。だいたい俺は読んでなかったとしても人の趣味を笑ったり はしないよ。小説なんて面白ければなに読んだっていいんだから」 「……そうよね。ありがとう、乃木くん」 「い、いいんだよべつに」 メガネの奥の彼女の瞳は優しく澄み切っており、見詰められてしまうとかなり恥ずかし かった。 「東郷さんは、他にどんな本を読むの?」 150 : 俺の妹がこんなにとびっきりに変態なわけがない 2 2010/09/21(火) 23 01 57 ID 4/uKqcvU 「私、本が好きだから、あまりジャンルにこだわらないで読むのよ。最近読んだのは、ジ ェイムズ・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』とか、塩野七生の『わが友マキアヴェ ッリ』とか、『ラブクラフト全集』とか、『ゼロの使い魔』とかかしら」 本当にこだわりがないようだ。 本人にそのつもりはないのだろうが、みごとに最後でオチている。 一度、東郷さんの家の本棚を見てみたいな。もの凄く混沌のような気がする。 「俺も『ゼロの使い魔』だけは読んでるよ。あれ面白いよね」 デルフも生き返ったしな。 つーか、最初の本は聞いたことすらないよ。 「でもそんなに色々読んでるのって凄いね。もしかして自分でも小説とか書いたりする人 だったりして」 「えええっ!!」 吃驚した。 なにげなく聞いただけなのに、東郷さんの驚き方はハンパなかった。車内の人達も不審 な目でこちらを見ている。まるで俺がおかしなことでもしたかのように……。 「あっ、ごめんなさい……」 「えっと……なにかあったの?」 「な、なんでもないのよ。気にしないで。急に大きな声を出してごめんなさいね」 東郷さんがなぜあんなに驚いたのか少し気になったが、そんなことよりも恥ずかしそう に頬を染めている彼女が可愛すぎてもうそれどころではなかった。 「い、いや、なにも気にしてないから。ハハハ……」 そういえば、東郷さんとこんなに会話をするのなんてあの日以来だな。それ以降は、ほ とんど挨拶くらいしかしたことなかったからな。このまま電車が環状線になって永遠に回 り続けてくれればいいのに、と思わずにはいられない。 が、もちろんそんなことが起こるはずもなく、無常にも電車は数分の遅れもなく目的の 駅へと到着するのだった。 『今日のお弁当も美味しいよー。お兄ちゃんの愛情がいっぱいだよー』 昼休みになると早速、真帆奈からメールが来た。 添付されていたファイルを開けると、麗ちゃんと一緒に弁当を食べている画像だった。 とうとう恐れていた真帆奈のメール病が再発してしまった。 このメールで本日もう二十通目だ。 以前にあんまりしつこくメールをしてくると着信拒否にするぞ、と忠告してから少しは 減っていたのだが、先日の一件でどうやら箍が外れてしまったらしい。緊急時に備えて本 当に着信拒否にするわけにもいかず、また無視して返信しなければもの凄い勢いで拗ねる ので後々めんどくさいのだ。 「なんだ。また愛しの真帆奈ちゃんからラブメールか?」 サンドイッチを齧りながら悪友の黒木貴史が言った。 まるでメールの内容を知っているかのような口振りだった。 「アホか。そんなんじゃねーよ」 「じゃぁ誰からのメールなんだよ?」 「……」 「ほら見ろ。やっぱり真帆奈ちゃんからじゃねーか」 「だ、だから、ラブメールとかそういうんじゃないって言ってるんだよ」 「だったらメールを見せろよ」 「それは断固として断る!」 とても人に読ませることができる内容ではないので、俺は激しく拒否した。 「お前は我々の聖天使、真帆奈ちゃんを独り占めする気か! なんと罪深い男だ! お前 なんかメギドの雷に撃たれてショック死してしまえ!」 我々ってどこのどいつらのことだよ。もしかして真帆奈関係でおかしな団体でも作りや がったのか。この男も色々と正体不明なところがあるからな。 151 : 俺の妹がこんなにとびっきりに変態なわけがない 2 2010/09/21(火) 23 03 49 ID 4/uKqcvU 実は先日、こいつと一緒に聖地巡礼に行った時にこんなことがあった。 「やぁ藤井くん。しばらく」 「これはこれは黒木閣下ではございませんか! いらっしゃるのならば一言ご連絡下され れば、こちらからお迎えに参上つかまつりましたのに!」 「いやいや、気にしないでいいから」 「すぐにVIPルームをご用意いたしますので、暫くお待ちいただけますでしょうか」 「いや、今日はちょっと友人と買い物に来ただけだから、楽にしいて構わないよ」 「そうでございましたか。どうぞごゆっくりお楽しみ下さいませ。それで、こちらの方は 同志の一員でございますでしょうか……?」 「ああ、彼は将来の幹部候補だ」 「そうでございましたか! 乃木様でいらっしゃいますか。わたくしコミックと○のあな 秋葉原店の店長をやっております藤井と申します。マイスターには日頃からそれはもう大 変お世話になっております。むさ苦しいところではございますが、どうかごゆるりとお寛 ぎ下さいませ。もしなにかございましたら、この不肖藤井めに遠慮なくお申し付け下さい。 ラトゥ、プライ、ヴェルヘル……」 と、だいたいこんな感じだった。 普段あんまり聞かない単語やあやしげな呪文まで飛び出す始末で、「いいかげんにし ろ!」と喉仏辺りまでツッコミが出かかっていたのだが、あえて我慢した。ろくでもない 人間を。つーか、勝手に俺を同志とやらの一員にするのだけは金輪際やめてもらいたい。 で、またメールが来た。 ややうんざりしながら確認すると、当然ながら真帆奈からだった。 『学校だとお兄ちゃんに会えなくて寂しいよー。早くお兄ちゃんに会いたいよー。学校が 終わったら寄り道しないで、一刻も早く真帆奈とお兄ちゃんの愛の巣に帰ってきてね』 そんないかがわしい巣を作った覚えは一切ない。 黒木の冷たい視線が身体に染みる。 「と、ところで黒木よ。お前はゴールデンウィークの予定は決まっているのか?」 「ああ、旅行に行くことになっている」 「へー、どこに行くんだよ」 「熱海だ」 なるほど。 彼女と仲良く熱海旅行イベントというわけだ。 「なんだったらお前も一緒に来るか? ダブルデートということでもべつに構わんぞ。も ちろん泊まる部屋は別々になるがな」 「いや、遠慮しとくよ。邪魔しちゃ悪いからな。二人っきりで仲良く行ってくれ」 ぐっと涙を堪えながら俺は言った。 「そうか、気を使わせて悪いな」 「いや、いいんだよ。俺もその時は旅行に行くかもしれんからな」 そろそろ五月会の行き先をちゃんと決めないといけないよな。週末に色々あったからす っかり忘れてたよ。ちなみに五月会の説明を簡単にしておくと、うちの近所の五月生まれ のみんなで一緒に遊びに行く会のことだ。今年は暫定的に温泉に行くと決定している。果 たして今からでも宿は取れるのだろうか? で、またまたメールだ。 『言い忘れてたけど、今日はお兄ちゃんのだい好きな縞々にしたからね♡』 添付ファイルを開けるとさぁ大変。 たくし上げたスカートから丸見えになった、真帆奈の縞々パンティー画像だった。 「ブーーッ」 お茶吹いた。 「お前はなにをやってるんだ?」 「ゴホッ、ゴホッ、す、すまん……」 152 : 俺の妹がこんなにとびっきりに変態なわけがない 2 2010/09/21(火) 23 05 31 ID 4/uKqcvU 女の子がこんないやらしいメールを送ってきて! もうっ、ダメなんだからね! 家に 帰ったら絶対に説教してやるんだから! と思ってたら、今度は麗ちゃんからメールだった。 『おにーさんは縞々が好きだったんですね。それならそうともっと早く言ってくれればよ かったのに。私も幾つか持ってますから、今度、ドッキリ縞々画像を送っちゃいます ね』 麗ちゃん、頼むから真帆奈が馬鹿なことしてたらすぐに止めてよ! 「お前はいいご身分だな」 「だ、だから、そんなんじゃねーってばよ!」 俺の悲痛な叫び声が教室に木霊した。
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book_bunko_img07.png あらすじ ○1章 桐乃を海外へモデルとして連れていきたいマネージャーに「彼氏がいるから無理です」と言ったため 偽恋人をする二人。黒猫と地味子にその姿を目撃される 京介に妹として扱われるとキレる桐乃、なんでかはわからない京介。 最後に「今度は本物の彼氏にデート頼むから」 ○2章 あやせ邸、桐乃に彼氏が本当にいるか探りをいれまくる京介 黒猫には偽恋人の件を説得 ○3章 コミケ 桐乃、黒猫を恋愛のライバルとして意識 「オタクっ娘あつまれー」と「ゲーム研究会」メンバーが邂逅。 ○4章 コミケ続き 桐乃の彼氏登場 桐乃が京介と黒猫のキスの一見を(おそらく)小耳にはさんだため終始、黒猫と桐乃がギスギス、バジーナが何度もなだめる 桐乃が彼氏を家に連れてくる 父親は激怒しつつ静観、京介に桐乃の彼氏を追い出すよう促す 京介が彼氏に喧嘩売る 「お前に桐乃はやらん」 彼氏「演技です、桐乃さんに頼まれました」 ここまでしても桐乃の気持ちにきづかない京介に抱きついて桐乃大泣き 偽恋人のデートが近所の人に見られる→母親それを聞き又↑の大泣きのシーンを見て勘違い→妹についに手だしたの?(マジギレ) 桐乃と黒猫が長電話 黒猫告白
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book_bunko_img01.png ISBN978-4-04-867180-4 本体価格:570円 発売日:平成20年8月10日 帯の推薦コメント 乃木坂春香 「とっても面白かったです。 桐乃さんとお友達になりたいです」 あらすじ どこにでもいるような男子高校生高坂京介と、そんじょそこらには中々いないような美少女中学生高坂桐乃は兄妹である。もっとも、彼等はもう何年もほとんど口もきかないような関係であった。 だがある日、京介は偶然桐乃の秘密を知ってしまう。実は桐乃は、18禁のエロゲーや大きいお友達向けのアニメにハマリまくっている、ディープなオタクだったのだ。 京介が桐乃の秘密を知ったその日から、止まっていた兄妹の時間は動き出す。 「……人生相談が、あるの」 その桐乃の言葉を発端に、京介は、桐乃の理解者となった。そして、オタクとしての桐乃が黒猫や沙織といった友人を作る手助けをした。 桐乃にオタクの友人を作ったことにより、自分の役割は終わったと考えた京介であったが、事態は平穏なままでは済まなかった。桐乃の秘密が、厳格な父親に露呈してしまったのだ。 父親からオタク関係のコレクションを処分し、オタク趣味を止めるよう迫られ、葛藤して涙を流す桐乃を見て、京介は、恐るべき父親と闘うことを決意する。そして、殴られながらも萎えない気迫でもって、父親に桐乃が趣味を続けることを認めさせたのであった。 桐乃が直面した困難を排除したことによって、京介は、兄妹の関係がまた以前のものに戻ると考えた。 だが、そうした時、桐乃は京介に対して、まだ「人生相談」が終わっていないことと、初めての感謝の言葉を告げるのであった。